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山手線にて

夜遅くの山手線で。
中学生ぐらいの男の子とそのお父さんが、2人で電子機器の画面を見ている。
多分何か動画を見ているんだと思う。
二駅過ぎ三駅過ぎても、2人はじっと同じ一点を見ている。
時折、何かゴニョゴニョ話したりする。
目は画面を見ていて、男の子がお父さんに質問して、お父さんが頷いたり。
2人の顔がすごく近くて、一つの額にすっと納まる。
私はずっと2人を見ている。

昔タイに行ったとき、2人の少年がじっとパフォーマンスを見ていた。
たまたま私はそれを正面から見る。
彼らは瞬きもせず身じろぎもせず、じっと見ている。
そこにいることも忘れて、見ている。

何かをじっと見ているときの人の顔に、見ほれてしまう。
滅多に正面からは見られないけど。
身体はそこにあるけど明らかに心はそこにない感じ。
どこか遠くにある感じ。

電車の父子の関係は、多分良好だろうと思う。
心ここにあらずの2人の身体からはそれが滲み出していた。
by momokonno | 2006-06-07 11:28
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